今回は上記のような疑問をお持ちの大学生に向けて、
- 大学生はいつから年金を払うの?
- 「大学生は年金が免除される」の真実
- 学生納付特例制度とは?
- 大学生の内から年金を納入するメリット
というテーマでお話していきたいと思います。
大学生はいつから年金を払う?
20歳になった時点で国民年金に加入する義務がある
「大学生はいつから年金を払うことになるの?」という問題ですが、大学生である・ないに関わらず年齢が20歳になった時点で国民年金に加入する義務が生じます。
大学に現役で入学した方は大学2~3年生あたりから、浪人している方はそれより前に年金を払い始めることになるでしょう。
ちなみに年金として収める金額ですが、2020年4月~2021年3月までは月16,530円、つまり年間で198,360円支払うことになります。(毎年納める金額が同じではありません。)
国民年金に加入しないとどうなる?
たまにネット上などで
という意見を見かけますが、国民年金の加入は義務なのでお金を納めないと法律違反になります。
20歳を過ぎても年金を払わないまま放置すると納入の催促状が届き、それをさらに無視し続けると延滞料金の発生や最悪の場合、財産の差し押さえという形になります。
また、当然ですが年金を払っていない期間ある場合は、将来受け取れる年金もそれだけ減少します。
ただし、国民年金には過去10年までの支払っていない分の年金を後から払える「追納」というシステムがありますので、これを利用すれば将来貰える年金の減少を防ぐことができます。
「大学生は年金を免除される」は嘘
一部では「大学生は年金を免除される」と勘違いしている方もいるのですが、大学生は年金を免除される訳ではなく「学生の内は年金の納入を待ってあげるよ」という学生納付特例制度が使えるだけです。
(この制度については次項で詳しく解説します。)
確かに国民年金には所得が少ない方向けの「国民年金保険料の免除制度・納付猶予制度」というものが存在しますが、こちらの制度は学生は対象外になります。
この二つを混同してしまい「大学生は年金を払わなくていいんだ」と勘違いしていると後で大変なことになるので、お金に余裕がある場合は年金の納入を、余裕がない場合は学生納付特例制度の申請をしましょう。
一番やってはいけないのが年金の納入をせずに、学生納付特例制度の申請もしないことです。
学生納付特例制度の特徴と申し込み方
学生納付特例制度の特徴
学生納付特例制度とは学生を対象とした年金の納入を猶予してもらえる制度のことです。
こちらの制度はあくまで「猶予」なので学生の内に払うはずだった年金を後から「追納」制度を使って納めなくてはなりません。
先ほども解説したように「追納」は過去10年以内の未納分しか対象にならないので、学生納付特例制度を申請してから10年以内に未納分を納める必要があります。
学生納付特例制度を申請した場合、年金をまだ払っていなくても国民年金加入者と同じ扱いを受けることができます。
老齢基礎年金との関係
老齢基礎年金を受け取るためには、原則として保険料の納付済期間等が10年以上必要ですが、学生納付特例制度の承認を受けた期間は、この10年以上という老齢基礎年金の受給資格期間に含まれることとなります。
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度 より
障害基礎年金等との関係
障害や死亡といった不慮の事態が生じた場合に、(1)その事故が発生した月の前々月までの被保険者期間のうち保険料納付済期間(保険料免除期間を含む)が3分の2以上ある場合、又は(2)その事故が発生した月の前々月までの1年間に保険料の未納がない場合には、障害基礎年金や遺族基礎年金が支給されますが、学生納付特例制度の承認を受けている期間は、保険料納付済期間と同様に当該要件の対象期間になりますので、万が一のときにも安心です。
日本年金機構 国民年金保険料の学生納付特例制度 より
学生納付特例制度の対象者と申請方法
学生納付特例制度を申請できるのは以下の条件を満たしている方のみとなります。
- 本人の所得が(118万円+扶養親族等の数×38万円+社会保険料控除等)以下である
- 大学(大学院)、短期大学、高等学校、高等専門学校、特別支援学校、専修学校及び各種学校、一部の海外大学の日本分校に在学する方(夜間・定時制課程や通信課程も含まれる)
送られてきたハガキから申請する方法
日本年金機構から届く申請用のハガキに必要事項を記入して返送することで、学生納付特例制度の申請ができます。
詳しくは下記のページをご覧ください。
日本年金機構:令和元年度に学生納付特例が承認されていた方で、令和2年4月以降も在学予定の方を対象に、新年度の手続きについてのお知らせをお送りします
市役所、年金事務所、学校から申請する方法
何らかの理由で申請用のハガキが手元にない、通っている学校が途中で変わった場合は自身が住民登録をしている市(区)役所、近くの年金事務所、在学中の学校のいずれかで申請をすることになります。
詳しくは下記のページをご覧ください。
学生納付特例制度の申請をしたのに催促状が来た場合
稀に学生納付特例制度の申請をしたのに年金の催促状が届く場合があります。
考えられる理由としては
「行き違いになっているだけ」「その年度の学生納付特例制度を申請していない」
のどちらかだと思われます。
前者の場合、こちらはやるべき申請をしているので催促状が来ても特に気にする必要はありません。
問題なのは後者の方で、基本的に学生納付特例制度は毎年申請する必要があるので、その年に申請をしていないと年金未納扱いとなり催促状が届くことになります。
(学生納付特例制度は1回申請すれば在学中ずっと適用されるという訳ではありません。)
大学生の内から年金を納入するメリット
学生納付特例制度を使っている人より払う金額が少ない
先ほども述べたように学生納付特例制度を利用すると、学生時代に払っていなかった分の年金を払わなくてはいけない訳ですが、納付猶予を受けた期間の翌年度から起算して、3年度目以降に保険料を追納する場合には承認を受けた当時の保険料額に経過期間に応じた加算額が上乗せされます。
つまり「払うのが遅れた分、少し払う金額が増えるよ」ということです。
大学生の内から年金を払っておけば追納する必要が無いので、金額が上乗せされる心配もありません。
また、国民年金前納割引制度という1年分や2年分の年金をまとめて払える制度を利用すると、払う金額が割引されお得になるのでお金に余裕がある方はおススメです。
国民年金付加年金制度が使える
国民年金には毎月収める金額にプラス400円多く払うと、将来貰える年金が増える「国民年金付加年金制度」というものがあります。
もう少し具体的に説明すると、付加保険料月額400円を60歳になるまで毎月納付すると65歳から貰える年金にプラスする形で毎年掛金総額の半額が支給されるというものです。
例えば50歳から60歳までの10年間、この制度を利用した場合
(400円×12カ月×10年)÷2=24,000円
が65歳から自分が亡くなるまで毎年貰えることになります。
上記のようにかなり美味しい制度な訳ですが、残念ながら誰でもこの制度を使えるわけではありません。
- 国民年金第1号被保険者(自営業者・農業者・学生・アルバイト・無職の人で20歳以上60歳未満)
- 65歳以上の人を除く任意加入被保険者
がこの制度を利用できる条件となります。(サラリーマンや公務員などは利用できません。)
つまり将来、自身で商売をしたり農業に従事しようと思っている人以外は大学生の内しか利用できない制度ということです。
仮に20歳から大学卒業までこの制度を利用する場合、自身の誕生日にもよりますが2年1カ月から3年の期間利用することができ、
(400円×12カ月×2年1カ月)÷2=5,000円
(400円×12カ月×3年)÷2=7,200円
将来貰える金額を5,000円~7,200円増やすことができる計算になります。
学生納付特例制度を利用している場合、この制度は使えません。
まとめ|大学生は年金が免除される訳では無い
ここまで大学生の年金に関する疑問について解説してきましたが、いかがだったでしょうか?
「周りの友達が学生納付特例制度を使ってるから自分も使おう」というように安易な判断をするのではなく、学生納付特例制度を使うメリット・デメリットを自分で判断して選択しましょう。
年金に関する手続きなどを親任せにするのではなく、しっかりと自分で年金に関する知識を持っておくことが大切です。
最後まで読んで頂きありがとうございました。