『どこの家にも怖いものはいる』あらすじと感想【妙な既視感を覚える幽霊屋敷の話】

読んで良かった本

三津田信三さんの『どこの家にも怖いものはいる』を読み終わったのであらすじと読了後の感想をまとめます。

この本は筆者とその友人が幽霊屋敷に関する話を集めたら、何故かどれも似ている部分がある。時代や場所、登場人物すらバラバラなのに何故似ていると感じるのか?妙な既視感を覚えるのは何故なのか?といった謎を解き明かす、ホラー小説でありながらミステリーでもある...そんな作品です。

  • 三津田信三さんのファンである
  • 実話系怪談が好き

という方にはオススメできる作品となっています。

『どこの家にも怖いものはいる』ってどんな本なの?

『どこの家にも怖いものはいる』は単行本が2014年8月10日に、文庫本が2017年6月22日に発売されています。

ページ数は351ページなので平均で6時間程度あれば読み終わるでしょう。

またこの本の姉妹編として2017年に『わざと忌み家を建てて棲む』が刊行されています。

著者の三津田信三(みつだしんぞう)さんってどんな人?

作品の内容に触れる前に著者の三津田信三さんについてご紹介します。

三津田信三(みつだしんぞう)

  • 奈良県生まれ
  • 元編集者
  • 2001年に『ホラー作家の棲む家』で小説家デビュー
  • 代表作として作者と同名の作家を登場人物とした作家三部作流浪の幻想小説家を語り手とした刀城言耶シリーズがある。

『どこの家にも怖いものはいる』のあらすじ

三間坂という編集者と出会い、同じ怪談好きとして意気投合する作家の三津田。その縁で彼の実家の蔵から発見された「家」に関するいくつかの記述を読むことになる。だが、その五つの幽霊屋敷話は、人物、時代、内容などバラバラなはずなのに、奇妙な共通点が……。しかも、この話を読んだ者の「家」には、それが訪れるかもしれないらしい。最凶の「幽霊屋敷」怪談登場!

Amazon商品ページより

『どこの家にも怖いものはいる』を実際に読んだ方のツイート

『どこの家にも怖いものはいる』読了後の感想

三津田信三さんのファンには嬉しいが...

正直に言ってしまえば、今作は5つの短編のどれもがクオリティが高く非常に怖いと思える内容でした。

ただそれだけに短編以外の部分で残念に感じた所があったのも事実です。

例えば、本作は主人公である三津田信三さん(著者自身)とそのファンであり友人でもある編集者との会話や行動を軸にストーリーが進行していきます。

(この二人が5つの怪異譚について共通点を探したり、考察して真相を追うという内容です)

で、この二人の会話にはかなりの高頻度で三津田さんの作品に関する話題が出てくるんですよ。

(「刀城言耶シリーズの◯◯のシーンですね!」みたいな)

確かに他の作品も読んでいるファンの方なら嬉しいのかもしれませんが、この本から読み始めた僕のような人間には置いてけぼり感があり、本作の内容ともあまり関係ないので話のテンポが悪くなっているようにも感じました。

怪談好き同士の会話に自分も参加しているような心地よさがある

上記でも書いたように本作は著者であり主人公である三津田信三さんとその友人の編集者の会話でストーリーが進行します。

著者の三津田さんは当然としてこの編集者の友人も大の怪談好き。

この二人の会話シーンを読んでいると、自分と同じ怪談好き同士の会話に自分も参加しているようで何だか心地よさを感じました。

僕の周りにはあまりホラー好きな人がいないので、こんな風に友人同士でホラー作品について語り合えるのは羨ましい限りですね...(笑)

話のオチはやや無理矢理感が否めない

ネタバレになってしまうので詳しくは書きませんが、作中の最後で遂に5つの怪異譚が似ている理由が判明します。

この理由が個人的にイマイチ納得できないというか...ちょっと無理やりかなぁと思いました。

まぁ少ない資料から真相を考察する、実話系怪談という話の展開上オチが少し強引になってしまうのは仕方ないのかもしれませんが。