ついに買っちゃいました。『忌録 documentX』
気になってはいたんですが、めちゃくちゃ怖いと噂だったので中々買う勇気が出ず...(汗)
今回ようやく読み終わったので本の特徴やあらすじ、感想などを書きたいと思います。
(ネタバレは極力避けるので未読の方も最後まで読んで頂いて大丈夫です。)
この本は実際にあったとされる幽霊・怪異が絡んだ4つの事件を当時の資料(写真や手紙、ブログの記事など)を元に追っていく新感覚ホラードキュメンタリーといった感じです。
- 実話系ホラーが好き
- 得体の知れない恐怖が好き
- 今までに無かったホラーが読みたい
という方には、是非読んで欲しい一冊となっています。(300円でこの怖さはコスパ良すぎ)
目次
『忌録 documentX』ってどんな本なの?
『忌録 documentX』は2014年の5月4日に発売された実話系ホラー小説です。
この本は著者である阿澄思惟さんが2006年から2012年の間に集めた「神隠し、呪詛、幽霊屋敷、心霊ビデオ」の記録を一冊の本としてまとめたものです。
ページ数は316ページですが、先程も書いたように物語というよりは事件の謎を資料と共に追っていくドキュメンタリー形式の本なので2〜3時間もあれば読み終わると思います。
ちなみに電子書籍版しか発売されていません。
著者の阿澄思惟(あすみしい)さんってどんな人?
さて本作の著者の阿澄思惟さんですが、実はある有名なホラー作家の別の名義ではないか?と噂されています。
というのもこの阿澄思惟(あすみしい)という名前、英語で表記すると
阿澄思惟→A・SMITHEE→アラン・スミシー
という風にアラン・スミシーをもじった名前なんですね。
アラン・スミシー(Alan Smithee)は、アメリカ映画で1968年から1999年にかけて使われていた架空の映画監督の名前である。
アメリカで、映画制作中に映画監督が何らかの理由で降板してポストが空席になったり、何らかの問題で自らの監督作品として責任を負いたくない場合にクレジットされる偽名である。
Wikipediaより
まぁ要するに存在しない名無しの権兵衛ということです。
で、肝心の誰の別名義なのか?ということですが恐らく「三津田信三」さんだとされています。
『どこの家にも怖いものはいる』などを書いている方でホラー好きなら一度は聞いたことがあるかもしれませんね。
「阿澄思惟=三津田信三」を裏付ける根拠が作中にいくつかあるのですが、それをここで書いてしまうとこれから読む方の楽しみを奪ってしまうので気になる方は是非買ってみて下さい。
本のあらすじ
ここからは先程書いた「神隠し、呪詛、幽霊屋敷、心霊ビデオ」にまつわる4つの話のあらすじを紹介します。
「みさき」
一九九二年七月七日、一人の少女が失踪した。少女の名は吉野美咲。彼女は周囲を濠に囲まれた神社から、両親が目を離したほんのわずかな時間に忽然と姿を消した。
これは事件なのか、事故なのか、それとも人知を超えた力によるものなのか。警察による懸命の捜索も空しく、何ひとつ手がかりのないまま時間だけが流れていく中、両親は藁にも縋る思いで霊媒師の協力を仰ぎ、交霊会の場で娘との交信を試みる。
だが、それはこれから始まる恐ろしい出来事の、ほんの始まりに過ぎなかった・・・。
「光子菩薩」
ある旧家で発見された、一通の書簡。そこには、"谷中の眼球くりぬき魔"こと満田敏夫の所持品から見つかった、光子菩薩という奇怪な仏が描かれた護符と、それにまつわる世にもおぞましい事件についての顛末が書かれていた。
光子菩薩の護符を目にした人間は、わずか数日のうちに急速に認知能力を失い、最後には回復の見込みのない昏睡状態に陥るのだという。これは護符の呪いなのか? そして、護符と眼球くりぬき魔との関係は? 記述者である「私」は、その謎を解明するべく、恐るべき非人道的実験に手を染めていく・・・。
「忌避(仮)」
某出版社の倉庫に眠っていた、一枚のフロッピーディスク。ラベルに「忌避(仮)」と書かれたその中には、取材先の土地で失踪したライターが残した記事の草稿が収められていた。
彼が取材していたもの、それは二〇〇一年に沖縄県糸満市で起きた、幽霊屋敷にまつわる事件だった。改装された古民家で次々と起こる怪現象は、聖域を侵した祟りなのか。
激しい嵐のさなかに行われた降霊会で、逃げ場のない一家の前に、彼らを襲う怪異がついにその正体を現す・・・。
「綾のーと。」
インターネット上には、更新が止まったまま放置された廃墟のようなブログがいくつも存在する。
ここに紹介するのはその中の一つ、ある女性が関東某所に実在する幽霊マンションで過ごした、三ヶ月間の出来事を記録したものである。
はたして幽霊の実在は証明できるのか。彼女は友人と協力して部屋にウェブカメラを設置し、心霊現象の証拠を押さえるため、無人の部屋を録画するが・・・。
(※上記のあらすじは全てAmazonより引用しています)
『忌録 documentX』を実際に読んだ方のツイート
忌録: document Xはマジで面白かった
— にしむら (@646_rarara) August 27, 2019
私は好き
形態がどうしても電子書籍でしかできない(仕掛けが紙では絶対にできない怖さとそこに面白さがある)のでkindleに落としてどうぞ
ぐぬぬ全部読んでしまった。
— __/ __/ 深淵 __/ __/ (@alabama_man_j) July 26, 2020
考察記事やtogetter含めて忌録を作ってるんだなというかすげ〜ものを読んでしまった。
洒落怖、オカ板が好きな人にはぶっ刺さりすぎる作品じゃんねこんなん。
『忌録: document X』実録風の怪談を4話収録。未解決事件を丸ごとアーカイブ化したような印象だが、きちんと恐怖を呼び起こすべく用意周到に仕組まれている。「結局は人間が一番怖い」というありきたりな事を隠し味に使って大成功している。「みさき」と「光子菩薩」がとくに良かった。絶対おすすめ。
— 土屋 邦彦 (@UGWORM) May 26, 2019
『忌録 documentX』読了後の感想
話のオチが無いことで際立つリアリティ感
『忌録 documentX』は読者に読まれることによって初めて作品として完成する
一言で言うならこんな印象です。
先程も少し書きましたがこの本は物語というよりは、あくまで事件に関する資料をまとめたドキュメンタリー作品、レポートといった感じです。
なのでよくあるホラー小説のように話にオチがあるという訳ではありませんし、作中で事件の真相が解明されることもありません。
つまりその事件の謎をどう考えるかは読者次第なんですね。
で、そうなると当然読んだ人は事件の真相や謎を考察したくなりますよね。
実際、ブログやTwitter上でもこの本の考察をしている方は大勢います。
それが読者が恐怖するキーポイントだと思うんですよね。
例えばホラー小説で最後に「◯◯はXXのせいだった」と著者によって考えられた話のオチが説明されるよりも、あえて話のオチは語られず読者が断片的な情報から推理して「これはこういう意味だったんじゃないか?」という風に真実にたどり着いた方が、ゾッとすると思いませんか?
本作はそういった恐怖演出により実話系ホラーとしてのリアリティが非常に出ており、「ただの怖い話」として片付けられないような怖さがあります。
手元に置いておきたくない本
基本的にホラー小説ってあくまでその本の中だけの恐怖じゃないですか。
でもこの本は何だか自分の日常にも侵食してきそうな、そんな不気味さがあります。
よく「残穢」も手元に置いておきたくないと言われますが、本作も少し似た部分があるかもしれませんね...(汗)
総合的な怖さはピカイチ
僕はこの本を読んだ日の夕方頃にうたた寝してしまい、起きたら深夜だったのですが本の内容を思い出したら怖くなってしまいシャワーを浴びにいけませんでした...(笑)
Kindle Unlimitedに加入している方は無料で読めますし、加入していなくても300円で買えるので気になっている方は試しに一度読んでみてはいかがでしょうか?
読んだ後も他の人の考察を読むことで2度楽しめるのでオススメです。